20.03.22 お父さんとデート
あの日から四十九日が過ぎた
とても濃ゆくて短く感じた期間
この49日間にはいろんな事が詰まっている
昨日は私のDJデビューの日だった
中洲の大きな川沿いにある良い雰囲気のBAR
お客さんも優しい人ばかりだった
最近は健全な生活をしていたから
久しぶりに朝4時に帰宅
もちろん目覚ましの音は聞こえず
お父さんからの電話で目を覚ました
天神で待ち合わせをし
お昼はお母さんが好きだった蕎麦屋へ
鴨南蛮蕎麦を食べた
1週間ぶりに会ったお父さんは
席に着くなりたくさん話してくれた
私も最近ではお父さんに話したい事が増えた
大概はしょうもない話だから鼻で笑われるけど
たまにお父さんの興味にヒットする話題が出来ると
とても盛り上がって嬉しい
お母さんがいなくなった隙間を
埋めてくれるようだった
そのあとは欲しかったスニーカーを見に行った
お父さんは初めて入る西通りのブティック
お父さんなりの意見を言ってくれて
最後は私の背中を押してくれる
お母さんと同じ
私は優柔不断で一人で買い物をするのが苦手だ
洋服や靴を買いに行くときは
お母さんを連れて行くと失敗しない
絶対的な信頼をしていた
お母さんは質が良く、長年着れる物を好んだ
タンスの肥やしには30年前に買ったものだけど
センスがよくて綺麗で状態のいい洋服や靴ばかり
私はよくお母さんのおさがりをもらったり
勝手に共有していた
お母さんが痩せてきた頃は
若い頃のお気に入りが
また着れるようになって喜んでいた
嬉しがっているお母さんを見て
心配していた私だが
悟られないように振る舞った
案の定
お母さんはみるみるうちに
かわいい洋服が似合わないくらい痩せていった
ここ数年のお気に入りの
アクアスキュータムのトレンチコートは
色違い、形違いで母娘で1着ずつ持っている
最初はお母さんが見つけてきた
バーバリーのコートは重たいから違うものがいいとか
ベルトにはDカンがマストだとか
裏地にもこだわりがあるものがいいとか
その全てを網羅しているのがアクアスキュータム
20代前半の私には手の届かない値段だったから
とても羨ましかった
あるときそのコートが安くなっているからって
電話をかけてきてくれた
いつも私が喜ぶことにアンテナを張ってくれていたお母さん
私も娘ができたらこんな親友同士みたいな関係でいたいな
女兄弟がいないのでお母さんのトレンチコートは私のものになる
全く同じデザインのものを買ってなくて良かったっていうのが
正直な気持ち